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「重松清」季節風春。感想【ネタバレ無し】

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2010年の重松清さんの作品。12編の短編集から成る作品だ。この12編はそれぞれ特に繋がりはない。出会いと別れがテーマとなっている独立した短編集だ。

 

あらすじ

12編全てのあらすじを書くのも読むのも大変だ。今回は特によかった2作品を紹介していきたい。

 

まずは「霜を往け」。タイトルからは少し想像しにくい作品だ。

ある日酔っぱらいが駅のホームから落ちそうになったところを未来ある大学生が助けようとして、不幸にも2人共亡くなってしまうところから物語が始まる。

案の定、世論の感心は大学生に向く。そして大半の人の目には「大学生が可哀相だ。」と映る。

もちろん酔っ払いは亡き後も非難を浴びることに。

そこへ1人のジャーナリストが。ジャーナリストといっても鳴かず飛ばずの売れないフリーライター。何を思ったのか酔っ払いの方に感心を持つ。

その後彼の取った行動は、何を思ったのか、その酔っぱらいの年老いた両親に会いに行くことに。

 

そして2作品目。「目には青葉」。

37年間異性と交際をしたことの無い男の物語。

この男性、見た目もあまりよくなく、その上要領も悪い。そして引っ込み思案ときたものだ。

その上自分に全く自信がない。

しかし、彼に奇跡的にも彼女と呼べるような女性ができた。休日は会ったり、食事をしたりと彼女彼氏ほどの関係と呼んでも全くおかしくない間柄だ。

だたし、まだお互いに付き合うことの意思確認はしていない。

焦る男性。焦るというよりはむしろ自分が幸せにさえなれないと思いこんでいる。

しかし、そんな彼女がついにその男性の家にくることに。そして彼女は意外なことを口に。

驚きのあまり呆然とする男性。

そしてその男性は自分の境遇と、なぜこのような自分になってしまったのかと思わず自分の半生を振り返ることに。

そこには驚きの半生が。

そしてその後取った行動で2人が...。

 

読んでみた感想

どの作品も短編集なのに印象に強く残る作品ばかりだ。

印象に強く残るというと抽象的な表現だが、どの作品も胸をグッとわしづかみにされたように切ない感情が強く残る。

特に上にあげた2作品に関しては出会いの中に強烈な切なさを持っている。

いや、逆なのかもしれない。強烈な切なさゆえ、出会いの部分が非常に美しく感じる。

特に「目には青葉」は、強烈な別れと出会いがある。

男性、女性ともに短い話なのにキャラクターがちゃんと確立しているため感情移入しやすい、そこにきて対象的な別れと出会いの描写。これでやられてしまった。

出会いと別れが題材の作品だがどれも後味のよい作品ばかりだ。

 

さいごに

季節風春は短編集の中でも個人的には上位にくる作品だ。

古くからの重松清ファンでも十分に楽しめる作品だ。短編集だからといって読まないのは勿体ない。オススメな作品だ。